東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) のロバート・クインビー特任研究員らは、地球から約90億光年の遠方に見つかった超新星が、明るさが一定のため「宇宙の標準光源」として知られるIa(い ちえい)型超新星でありながら、超新星と地球との間にある大質量の天体によって空間が曲げられる「重力レンズ効果」によって集光され、通常の約30倍も明 るく見えたことを発見しました。

重力レンズ効果は、宇宙の9割以上を占める暗黒物質や暗黒エネルギー、またブラックホールなど、光で直接観測できないものを観測する数少ない手段のひとつとして、最近特に注目されています。

今回、Ia型超新星の「標準光源」としての性質により、他の天体の重力レンズ効果では難しかった増光率の直接測定に成功しました。この成果によって 重力レンズ効果の理解が進み、今後、すみれプロジェクトをはじめとする宇宙観測研究において、様々な天体の重力レンズ効果を利用して、宇宙の暗黒物質や暗黒エネルギー、重力理論の解明をさらに進める足がかりにな ると期待されます。

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